1. |
激愛（い）
01:38
|
|||
2. |
ほら、ここに…
04:30
|
|||
|
ほら、ここに…
とてもまるく とてもやわらかい
その深淵の内部に肉やら皮やらが
ひしめきあい いりみだれて
しかしそれらは
みごとに整頓され 規則正しく
いりみだれて ひしめきあう
泉のきわにもりあがる
ふさふさのふさにふさがれた
いつみてもきわどいもりあがり
とてもまるく とてもやわらかい
それら深淵の内部に
ひだやら粘膜やらが
うごめいて はいずり そして
それらは ささやくように
つきはなれしながら
はいまわり うごめく
卵が割れて
とろけるとろとろのとろに
卵のごまもわれをわすれる
やっとみつけた安息の場所
ほら ここにありますよ…
|
||||
3. |
激愛（ろ）
01:03
|
|||
4. |
無為の実践
03:40
|
|||
|
無為の実践
肛門が少し開いて
そろそろとぐろを巻きはじめた
夢や月のまわりで大口をあけて
狂ったようにわらっている
陽気なひだも美しく
男も女も痛みも苦しみもなく
入れた指の鼓動が
温かさやすえた匂いにつつまれて
淑やかにほほえみながら
幾重にも束ねられている歓喜の産声に
機械仕掛けの自動人形のような指
或いはナメクジやナマコにも似た
その指達の変化
そして伸縮をつづける肉さえもが
あるがままの姿でわずかな策略もなく
よどみのうたかたよろしく
行為というには
あまりにも純粋な動きでもって
期待どおりの無為の実践が
繰り返し繰り返しおこなわれる…
|
||||
5. |
激愛（は）
01:24
|
|||
6. |
牛の食欲
03:43
|
|||
|
牛の食欲
そろそろと漫ろ歩くふたつのそれは
すれあってもこすれあっても
すべてのとろを
とろとろにとろけさすまで
奥へ奥へとするするに入りこみながら
まわりのまあるい
やわらかなひだやら肉やらを
蠢く蛆虫さながら躰ごと頬摺り
悠久のとろけのなかで
深淵から這いあがる胎児を懐かしむ
老婆の自慰に
どこか似ていることにうんざりする
かじられた桃、卵、そして
にぎり潰されそうな乳房たちの
いつものもみくちゃに
歓喜の産声を上げながら
赤子を撫でるように
そのまわりにへばりついたとろを
それはやわらかくも逞しく
あやしつづける
まるで、牛の食欲のように…
|
||||
7. |
よだれ
03:20
|
|||
|
よだれ
牛の食欲のように
だらだらしたそれは
ぼんやりの感受性をともなって
やむことのないいたわりやいたぶりに
割って入る透きのない
曖昧な愛撫を反映し
それでいていつにもましてそれはそれで
一塊の肉のようにぶるぶるとふるえながら
幾重にもよじれた襞をひらかれている
しかもやわらかく打たれたかよわい痛みに
ますますその歓びをあらわにする
なめくじよろしく
だらりとしただらだらのよだれが
だれのものかもわからないままながれおち
いつものようにこぼれてしまうため息に
思わず舌の突起物もわれを忘れて
わらいだすかも…
|
||||
8. |
くずれる石
10:42
|
|||
|
くずれる石
慈しみの 不条理に どうにもならない 深淵に
奈落の夢の 欲望に 打ちのめされる 諦めに
黒く 覆われ 白く 絶たれ
青に 千切られ 赤に 切られ
もがき くるしみ かわき もだえ
きずつき やぶれ かなしみ なげき
にくみ うらみ いかり さけび
ないて かれて つかれ こわれる
頸に 紐を掛けて 脚を 外す
紐が くいこむ 咽に くいこむ
紐が くいこむ くいこむ くいこむ
くいこむ くいこむ くいこむ くいこむ
仄かに ひかり 微かに かおり
静かに ゆらぎ 僅かに そよぎ
川が 流れて 花が 咲いて
石を 積み くずれる
空は 青く 鳥が 啼いて
石を 積み くずれる くずれる
くずれる くずれる くずれる くずれる
くずれる くずれる くずれる くずれる
|
||||
mado Japan
<ten-soku>
猿木土真通 mado
(violin,clarinet,organ)
If you like 激愛, you may also like:
featured on Bandcamp Radio Jul 14, 2020
go to album
The Shenanigans-to-Tomfoolery Continuum
by Bridges of Königsberg
This experimental release from Bridges of Königsberg is electroacoustic noise at its most playful and expansive.
go to album
Written in response to the climate crisis, “Leviathan” is a brooding and beautifully unsettling batch of dark ambient songs.
go to album
Purposely scaled-back electronic music, “Intruder” is all about the texture of a few pieces of gear playing off one another.
go to album
St Celfer returns with tracks culled from a series of live shows, each one a showcase for his inventive experimentalism.
go to album
The 17 mindbending songs on this compilation represent minimalist experimental music at its best, a collage of blips and static.
go to album
On this uncompromising LP, the UK outfit NOISE use haunting drone, hissing static and stark electronics to explore repressed trauma.
go to album
